不動産業界に転職するためには「宅地建物取引士」が必要ですか?
資格を持っていなくても大丈夫です!
求人情報には「宅建士優遇」とありますが・・・。
不動産業界15年、住宅営業8年、土地仕入れ営業7年目のこうじが徹底解説します!
不動産業界で働くには必須と思われている「宅地建物取引士」の資格ですが、転職の必須条件ではありません。実際、多くの人が宅地建物取引士の資格を持たずに不動産業界で働いています。
この記事では「なぜ、宅地建物取引士の資格がなくても転職できるのか?」を不動産業界歴15年のこうじが徹底解説します!
不動産業界に転職するために「宅地建物取引士」の資格は必要か?
【結論】資格を持っていなくても大丈夫です!
結論をもう少し詳しく説明すると、「資格を持っていなくても転職できるが、持っていれば転職しやすい」です。
転職を考えている人であればすでに不動産営業の求人を見たことがあるかもしれませんが、実際の求人情報で「有資格者優遇」の記載はよく見ても、「宅地建物取引士」の資格が必須条件となっている情報はほとんど見ないはずです。逆に「未経験可」のほうがよく目にするのではないでしょうか。
これはおそらく、実務経験がなければ資格だけ持っていてもあまり役に立たない、というのが理由です。
ですので、資格を持っていなくても、未経験でも、まずは入社してもらい仕事をしながら資格を取ってもらえば良いと会社は考えているんですね。
さらに一口に不動産業界と言っても様々な職種がありますので、仕事内容によって資格の重要性は違います。
土地を購入する時や注文住宅の場合は「宅地建物取引士」から買いたいが、自分の土地を売却する時や完成している建売戸建て分譲の場合、担当者の資格は気にならない。
たとえば、土地や建物を売る「注文住宅営業」の場合、資格を持っていればお客様からの信頼度はぐっと上がります。お客様の立場からすれば、不動産という高額な買い物を、資格を持った営業から説明してもらい、安心して購入したいと思うはずです。
同じ住宅営業でも「建売戸建て分譲」の場合、すでに完成している物件を売るので法令上問題ないことが明白です。たとえ担当営業が資格を持っていなくても、「この土地ではご希望の建物を建築することはできません。」なんてことはないので安心です。
そして用地を仕入れる「土地仕入れ営業」の場合、立場が逆です。
土地仕入れ営業は「土地を買う」のが仕事ですので、説明を受ける側の立場です。
自分の土地を売る時に、買ってくれる会社の担当者の資格を気にする売主はいません。
土地仕入れ営業の資格の有無は、売主にはあまり関係ないのです。
もちろん土地の調査をしたり、購入検討の過程で、資格を持っている方がより細かい部分に気がつくかもしれません。
ですので、会社も調査には調査表やチェックリストを使って誰でもできるようにしていますし、購入検討は1人の営業だけではなく、上司や設計士、現場監督など多くの視点で判断します。
(土地の調査についてはこちら、物件検討についてはこちらの記事を参考にしてください。)
土地を売る人は、担当者はあくまで担当者であって、土地を買ってくれるのは会社と思っているはずです。担当者が宅地建物取引士の資格を持っていようが、持っていまいが、どちらでもいいのです。
お客様が慎重に住宅購入を検討するように、会社も慎重に土地仕入れを検討します。決して土地仕入れ営業1人の判断に任せたりせず会社として判断します。ですので、資格が必須条件にはならないのです。
でも会社はやっぱり資格を取って欲しい。
調査や検討には知識が必要な面もあるから。
売主が気にしないからといって、資格が全然必要ないかと言ったらウソになります。土地の調査や検討には知識が必要な面もあるからです。
先程、「決して土地仕入れ営業1人の判断に任せたりせず会社として判断します。ですので、資格が必須条件にはならないのです。」と言っていたではないか!と怒られてしまいそうですが、理由は単純です。
周りの人たちが振り回されてしまうからです。
確かに、調査や検討はいろんな職種のメンバーで構成されたチームで行うので、購入時に細かいチェックができるような仕組みがあります。
ここでちょっと想像して見てください。
土地仕入れの入口である土地仕入れ営業が資格もなく、知識もなく、とりあえず情報だけ持ってくるような人だったらどうなりますか?
調査がずさんで何度も調べ直したり、検討内容がコロコロ変更になったり、同じチームのメンバーは振り回されてしまいますよね。
しかも、そんなことをしていたら仕入れできるはずだった土地も商談がダメになってしまいます。
会社としては効率的に、問題なく土地を仕入れるために、できれば資格を取って欲しいと思うのも当然ですよね。
例え実務経験がなくても、資格を持っていれば知識はあると判断されるので、転職する際に宅地建物取引士を持っていれば有利になることは間違いないです。
最初に書いた結論「資格を持っていなくても転職できるが、持っていれば転職しやすい」という説明につながります。
資格手当が付くので、資格は早めにとったほうが良い。
会社が資格手当を出すのには、理由がある。
会社にもよりますが、ほとんどの会社で宅地建物取引士は資格手当が付きます。
月に1万円~3万円くらいが相場です。なかには5万円の資格手当をアピールしている求人情報もあるようですが、高額な資格手当が付いている場合は基本給や福利厚生などその他の条件をしっかりチェックしたほうがいいようです。
資格手当以外にも、宅地建物取引士を持っていないと昇格できないなど、人事考課的に影響があるケースもあります。
実際に私の会社では宅地建物取引士を取らないと役職者にはなれません。
また、宅地建物取引士は必置資格です。
必置資格とは、事業を行う際にはその資格を持っている人を、決められた人数以上必ず配置しなければならないと義務付けされている資格のことです。
ざっくり言うと事務所の5人に1人は、宅地建物取引士を配置しなければいけません。
ですので、会社としては資格手当を付けることによって、社内の有資格者を増やして必置義務違反にならないように備えているわけです。
不動産業界に転職するために「宅地建物取引士」は必要か?まとめ
不動産業界に転職するために「宅地建物取引士」は必要か?について解説しました。
結論は「資格を持っていなくても転職できるが、持っていれば転職しやすい」です。
さらに補足すると、資格手当が付くし、昇給・昇格にも影響するので、資格は早めにとったほうが良い、という結論でした。
宅地建物取引士は国家資格で、法律系の資格としては入門資格と言われています。
不動産業界だけではなく金融関係など幅広い業界にニーズがあり、スキルアップ・キャリアアップ資格としても人気があります。
土地仕入れ営業を目指して転職活動していく中で、気に入った会社が住宅営業しか募集してなくて、まずは住宅営業として入社するといったケースもあります。ひょっとしたら、不動産業界ではない求人を勧められることもあるかもしれません。
どんな場合でも、宅地建物取引士を持っていて不利になることはありませんし、資格が無いからといってあきらめる必要も全くありません。
資格は転職に必須の条件ではありませんが、「宅地建物取引士を持っている」または「宅地建物取引士を受験予定で勉強している」は、業界への前向きな姿勢や熱意が感じられ好印象になります。
独学で取れる資格ですので、一度「宅地建物取引士」を調べてみてはいかがでしょうか。
独学で宅建士に合格したい方はこちらの記事を参考にしてください。
記事を読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、また。